「第66回日本小児血液・がん学会学術集会」「第22回日本小児がん看護学会学術集会」「第29回がんの子どもを守る会公開シンポジウム」に参加して
講演・社会啓発
2024.12.19
12月13日~15日に開催された「第66回日本小児血液・がん学会学術集会」「第22回日本小児がん看護学会学術集会」「第29回がんの子どもを守る会公開シンポジウム」に参加しました。今年のテーマは「がんの子どもに寄り添う臨床と研究」でした。この言葉が示す通り、学会全体を通して、治療技術の向上だけでなく、患者や家族にどのように寄り添い、支えていけるかという視点が、臨床と研究の両面から深く議論されていることを感じました。
特に印象に残ったのは、晩期合併症や長期フォローアップについての口演です。小児がん経験者として、自分自身の体験と照らし合わせながら、治療終了後の患者が抱えるさまざまな課題について学ぶことができました。治療後、数十年を経て明らかになるリスクや健康への影響を知り、医療従事者の皆さんが「今後の人生をどう支えるか」に真剣に取り組まれていることに、深い感謝の気持ちを抱きました。
また、「寄り添う」という言葉の意味についても考えさせられました。医療者と患者、支援者と患者、そして患者同士。病気を抱えた子どもたちやその家族が孤独にならず、安心して治療に向き合えるためには、「寄り添う」という姿勢がどれほど大切か。そして、それが単なる感情的な支えではなく、治療法の選択や生活の質の向上といった、実践的な支えにつながるものだということを、このテーマを通じて改めて学びました。
学会に参加することは、自分が受けた治療を客観的に見つめ直すと同時に、「病気とともにどう生きていくか」を深く考える機会でもあります。私自身、これまで病気を過去のものとして切り離そうとしてきた時期もありましたが、病気は人生の一部であり、それを受け入れながらも日常を楽しみ、未来に希望を持つことが大切だと感じています。
学会での交流を通じて、小児がん経験者としての視点を持つ仲間がいること、そして医療者や支援者が共に学びながら進んでいる姿を見ることができたのは、大きな励みとなりました。(文責:中村)
●参加したスタッフの声
今回の学術集会に参加し、小児がん支援に携わる団体スタッフとして、多くの気づきと学びを得ることができました。私は小児がん経験者の母という立場でもありますが、治療中は「今この瞬間をどう乗り越えるか」で精一杯でした。学会で晩期合併症や長期フォローアップについての発表を聞く中で、「治療後の生活をどう支えていくか」という視点の大切さを改めて感じました。
治療中や治療後の子どもたちが自立して成長していく姿を支えるには、家族の存在や周囲のサポートがどれほど重要かを再確認することができました。また、同じ支援活動をしている他団体の皆様と交流する中で、小児がん支援における「つながり」の重要性を強く実感しました。
学会は、専門知識を学ぶ場であると同時に、同じ志を持つ方々と出会い、共感し合い、連携を深める貴重な場です。この経験を通じて、今後の活動にさらに力を注いでいきたいと感じました。(スタッフ 飯田)
●会場でお会いした経験者の方からの寄稿
本学会には昨年に続いて2回目の参加となりました。今年は小児がん経験者および医療関係者として多くのことを学びました。
今回は、治療方法そのものについてよりも、晩期合併症や長期フォローアップを主とした口演を中心に回り、治療終了から20年近く経って当時はあまり分からなかったことが、ようやく分かってきたと感じました。
独学で晩期合併症について学ぶことは容易ではありませんが、学会や講演会に参加することで、自分が受けた薬剤や放射線療法の影響について知り、晩期合併症に備えることができると思いました。
来年は福岡で開催予定だそうです。この感想を見てくださっている皆様、ぜひ来年ご一緒にいかがでしょうか?(小児がん経験者 清水)