10月29日 小児がん研修会の報告
患者家族への支援
2022.10.29
小児がん関連医療施設の医師・看護師、教育関係者、患児・家族を対象に「教育支援」について研修会が開かれました。
がんの小・中学生と高校生の教育支援の講演では、子どもたちが小児がんから立ち直り、学校生活や社会で生きていくために、自分を知るための一助として活用する「ナビゲーションブック」の紹介がありました。
また、高校生のがん患者の7割が休学か退学をしている現状があり、その理由として、入院中の高校生教育は、本人の個別性が大きく、義務教育終了後のため、院内教育や訪問教育の設置数が少ない、制度はあっても遠隔教育が認められない、前例がなく遠隔教育を受け入れる高校が少ないと知りました。
講演で紹介された「高校生活とがん治療の両立のための教育サポートブック」を活用して、学業、学生生活を継続できることが重要であると感じました。
長期療養中の高校生のための事例集
高校生活とがん治療の両立のための教育サポートブック
そして、ミルフィーユからは、入院中の子どもたちが遠隔操作できるロボットを使って、買い物や水族館・博物館の見学をしている様子や家や病室からでも授業が受けられるICT活用の実際を紹介しました。会場からは「ほかにどのような活用方法があるか」「入院中の子どもたちがICTを使ってコミュニケーションをとることの重要性を感じている」「感動した」など、多くの声をいただきました。
講演で印象に残った言葉を紹介します。
医療は生活を取り戻す「手段」であり、「その子らしい」生活や人生は病院の外にあります。
教育現場は小児がん経験者が「患者」ではなく、「子ども」でいられる場所です。
小児がんの子どもたちが、長い療養生活を送りながら、将来、社会的自立をしていくために、「教育」は知識を得るだけでなく、支えてくれる人が病院の外にもいて、大切に思われている存在と感じることが自分らしく生きる力の源になります。
医療者や家族・教員・友人・ミルフィーユが協働して、入院中から退院後まで「子ども」でいられる「学び」の時間をより多く持てるようにしていきたいと思います。(文責 中島)