7月27日 八千代市教育委員会での講演
患者家族への支援
2023.07.27
八千代市教育委員会からの依頼で、八千代市内の小中学校の擁護・保健の先生方、約50名の方々に、退院後の復学に関してミルフィーユではどのような取り組みを行っているかお話しさせていただきました。
コロナ蔓延のために、社会との直接的なつながりに制限を受けた私達ですが、それでも家族との生活、通学、通勤など、マスクや消毒などで何とか維持しています。最近では少しずつですが友人との交流や人の集まる集会などにも参加可能になり始めています。でも小児がんの診断がついたこども達は、感染症蔓延の有無にかかわらず、家族や友達との交流、ショッピングやどこかへお出かけなど、すべて制限されます。がん治療の影響で感染症にかかりやすく、感染するとそれが重篤になることがあり、がん治療そのものがストップしてしまうこともあるからです。そのために入院と同時に外界との接触ができなり、しかも診断後、そのまま入院という隔離生活が始まります。先ほどまで一緒に遊んでいた友達、毎日通学することが当たり前の生活から、突然、切り離されたこども達が受けるショックは計り知れません。それでも入院生活に慣れ、復学の日を楽しみにしながら、辛い治療を頑張っているこども達。一日でも早く、何とかスムーズに元の生活に戻れるよう応援したい、そればかりを願いながらミルフィーユは活動をしています。
過酷な治療との闘い、自分だけのスペースはベッドの上だけ。プレイルームがあっても体調次第で、必ず、そこに行って遊べるとは限りません。治療の影響が強く出ている場合、個室に入り、病棟の仲間たちとも遊べません。食事制限も出てくることがあります。そして体にも変調が出てきます。治療中は身長も伸びず、髪が抜けたり、だるくて横になったままの状態になることもあります。学習支援として支援学校や訪問学級などもありますが、体調が理由で学習が進まなかったり、同年齢の子どもがいるとは限らず、ほかのこどもに負けまいとする競争意識も薄らぎます。こういう状況が半年から1年、場合によっては2年、3年と続くこともあります。
体だけでなく精神的にも成長発達過程にあるこども達がこのような生活を長期間強いられ、それでも頑張って、ようやく退院、復学に時が訪れた時、本当は待ちに待った通学が再開できるので嬉しいのですが、その一方でこども達は不安も抱き始めます。「自分を受け入れてくれるだろうか。」「勉強についていけるだろうか。」という不安です。入院期間が長くなればなるほど、その不安は募り、復学への夢も縮まってしまう場合もあります。一方、受け入れ側(学校・級友)も、どんな対応をすればよいのだろうか、ある種の緊張を感じているかもしれません。
そこでミルフィーユはクビというICTを利用して、入院中のこどもと学校をつなげ、先生や級友との交流を維持する活動を始めました。授業にも参加できれば学習意欲も維持できます。高校生など、授業出席数が単位取得、進級・卒業に影響する場合にも役立ちます。今年、国では小中学校、及び高等学校に対しICT利用による授業出席を正式な出席として認めるように通達を出しました。でもまだ周知が不十分なのが実情で。そのような中、八千代市の教育委員会からの講演依頼があったのです。
当日、お集まりくださった先生方に実際にクビを操作していただき、神戸にいる協力者とつないだり、話をしたり、操作が容易であること、実際にはその場にいない相手がまるでいるかのような感覚を覚えることなど、感想をいただきました。クビに乗せたタブレットは左右、上下に動きます。つまり患児が見たいところに画面をフォーカスできるのです。自分の顔を出したくない場合は、アバターで代用できますし、アバターでもその時の気分を示したり、理解ができたか否かを示すなど様々な交流ツールが備えられています。タブレットの画面から闘病中の患児の様子を見たり、話したり、級友たちにとっても闘病の様子が分かり、復学を願う気持ちが生まれ、復学時の対応への不安がかなり軽減されると期待しています。来月からは県内のある中学校で実際にこのクビを利用した学校参加が始まります。クビとタブレットは数台ですがミルフィーユで無料貸し出し可能です。それがだめでも、有料となりますが、メーカーで貸し出しもできます。
ご関心のある方はどうぞミルフィーユのホームページ「お問い合わせ」からご連絡ください。
お待ち申し上げます。(文責 井上)