日本血液学会公開シンポジウム
講演・社会啓発
2023.10.15
10月15日、日本血液学会での市民公開講座でお話ししてきました。
成人がんと小児がんの闘病は様々な点で異なる点をお話ししながら、ミルフィーユの活動の理念・目的を紹介してきました。そして治るようになってきた現在、新たな問題として、成人医療への移行について不安を抱いている小児がん経験者がいるということ、それを解消するために成人と小児の医療がより密に連携した長期フォローアップが構築されてほしいという願いを語ってまいりました。
(文責 井上)
白血病の治療は日々進歩し、治癒率も高くなってきていると言われていますが、実際のところどの程度進歩しているのか知りたくて、こちらのシンポジウムに参加させていただきました。
どの講演もとても興味深く、素人の私でも解りやすい内容になっていました。
内容を少しご紹介します。
白血病は遺伝性の白血病もあるので、兄弟間で移植すると、兄弟由来の白血病になってしまう可能性もあること。
移植をするにも現在は兄弟が少ないので、兄弟間の移植は将来なくなり、骨髄バンクに頼るしかなくなるかもしれない。
しかし型がすべて合わなくても、半分合っていれば移植ができるようになってきている(HLA半合致移植)そうすると、家族、親戚間での移植の選択肢が広がる。
画期的治療法として「CAR-T細胞療法」があり、自分の細胞を使用してがん細胞を攻撃するというもので、この治療をした方は(確か10年?)経った今でもお元気で、そして今でもCAR-T由来の細胞がパトロールしているそうです。
臨床研究は、今までの治療から分かり得たもので一番良いと思われる治療を本当に良いのか確かめるもので、この積み重ねによって今の治療が確立されてきている。
Aさんに効くからBさんにも効くという訳でもなく、維持療法は男の子は長くしないといけないが、女の子は短くても良い。強い治療をすると合併症がひどくなるが、弱くすると再発してしまう等、試行錯誤しながら一人一人に合った治療法が確立されてきたという歴史がよく解りました。
そしてボランティア側の講演では、NPO法人血液情報広場つばさの代表橋本さんからで、橋本さんのお子様が白血病になり、骨髄移植をしないと助からない。アメリカには骨髄バンクがあるが日本にはまだ骨髄バンクがなく、それならば私が創るしかないと、日本に骨髄バンクを設立するというお話でした。しかし、日本に骨髄バンクが設立されてからわすが3カ月後にお子様が天国に旅立ってしまいました。それでも橋本さんをはじめ、関係者の方々のおかげで今尚骨髄バンクによって沢山の命が救われています。これはまさに橋本さんとお子様によるもので、素晴らしい偉業をなされたと思います。
ミルフィーユの井上さんからは、ミルフィーユ設立に至るまでと、小児がんと闘う子どもたちや家族に寄り添い、イベントを通じて異年齢との交流や食育、犬とのふれあい、ICTを利用した活動等の紹介がありました。コロナ前に行われていたイベントのスライドを見て、懐かしさと共に改めて井上さんの尽力を感じました。
医療者、研究者、ボランティア、それぞれに歴史があり、本当に近い将来白血病が100%治る時代がくるのではないかと思いました。
普段なかなか聴けない貴重な講演で大変勉強になりました。
ありがとうございました。
(文責 金子)
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