2月15日 第6回 小児がん経験者交流会「鍋パ」を開催しました。
患者家族への支援
2025.02.16
2月15日、第6回小児がん経験者交流会「鍋パ」を開催しました。今回の参加者は、小児がん経験者とスタッフの合計9名が集まりました。
集合後、まずは買い出しからスタート。「せっかくだから焼きそばも焼こう!」「餃子も焼いちゃう?」 と、メニューが追加されていく展開に。
会場となったミルフィーユの事務所は、決して広々としたキッチンがあるわけではありません。でも、だからこそ、みんなで工夫し、協力しながら鍋をつくる時間そのものが「つながりの場」になっていました。
交流会では、食事を楽しむだけでなく、それぞれの近況や思いを語り合う場面もありました。
ある参加者がこんな言葉を口にしました。
「今まではこういうイベントに参加するとき、支えられる立場だった。でも、いつの間にか支える側として考えるような年齢になってきたのかなと思うようになった。」
小児がん経験者として成長していく中で、いつか訪れる変化です。
「もう子どもではいられない」と感じる瞬間が増えてきます。でも、実はまだ不安なこともたくさんあって、支えてもらいたい気持ちもある。 そんな葛藤を抱えながら、少しずつ前に進んでいきます。
私も小児がん経験者ですが、同じ道を通ってきました。
自分を受け入れ、整理しながら歩んできたけれど、どんなに大人になっても、誰かの支えが必要な瞬間があります。 そして、自分自身の努力だけでは乗り越えられないことがあります。
だからこそ、このような場所があることで「支えられる喜び」と「誰かを支える喜び」を感じられるようになればいいなと思いました。
「もしかして、あの頃一緒に入院してた?」
そんな偶然の再会が生まれる場面もありました。
小児がん経験者やその家族にとって、病棟で過ごした時間、そしてその時間を共有した仲間は、言葉にできないほど特別な存在です。
もちろん、同じ経験をしていても、捉え方や歩んできた道はそれぞれ違います。
でも「あの頃、病院で過ごした時間を持つ者同士」 だからこそ、言葉では説明しきれないものがあります。
「ただ、つながっていたことがある」という事実だけで、安心する感覚です。
日常の中で、小児がんのことを誰かに伝えようとすると「これを話したら重いかな?」と考えてしまうことがあります。でも、この交流会では、そのようなことは気にしなくて大丈夫です。
過去の経験も、今抱えている困りごとも、そのままで受け入れられます。
そして、今私たちが考えたこと、感じたこと、試してみたこと、それらすべてが、これから小児がんを経験する誰かが、いつか直面することかもしれないです。
楽しい時間はあっという間で、気づけばお別れの時間になっていました。
「明日からまた寒くなるみたいだよ。」「雨降るみたいだね。」「風邪ひかないようにね。」
そんな何気ない会話を交わしながらも、なんとなく離れがたくて、時間も少しオーバーしてしまいました。
小児がんは、治療を終えたあとも学業、就職、体力、通院との両立など共通する悩みを抱えながら、みんなそれぞれの答えを模索していきます。そして、生涯を通じて向き合っていくこともあります。
そんなとき、やっぱり「誰かと共有できる場」があることは、大きな支えになるので、この場所をこれから「みんなでつくる場」にしていけたらいいな、と思いました。
(文責 中村)