11月23日 第2回小児がん経験者の集い
患者家族への支援
2018.11.23
「今日10時からルンバールだから朝ごはんは半分ね」と看護師さんが言います。私は「一口も食べられなーい。」と返事をします。
思い出したのは20年以上も前に交わした会話です。
入院中、私が一番苦手だったのがルンバール。ベッドに横向きに寝て、背中を丸めたら、背骨の間にブスリと注射針を刺されます。
処置が終わったあとは頭痛と吐き気の症状に怯えながら、どんよりとした気分で最悪の時間を過ごしていました。
そんな大嫌いなルンバールのことを思い出したきっかけが、11月23日に開催された『第2回経験者の集い』です。参加者はすべて小児がん経験者です。
「今ルンバールとマルクやらなきゃいけないとしたらどちらを選ぶ?」なかなか日常会話では出てこない質問が、集いの場を盛り上げました。
「私は絶対マルク!」「いや、ルンバールでしょ。マルクは何しろ痛い。」「でもルンバールなんて終わったあとも嫌な感じが残って、気味が悪かったよ。」「そう、気味が悪い、それだ!俺もルンバールのほうが嫌い!」「えーっと、マルクとルンバールの違いってなんだっけ?記憶があいまいで、自分もそれやったかなあ?」「おそらくどっちもやってるよ!」「マルクは骨髄穿刺で、ルンバールは腰椎穿刺。マルクはここから太い注射針刺されて、、、」
当時、耐えた痛みと堪えた涙のエピソードは、懐かしさという感情からか、くすっと笑えるような、少しかたちを変えて登場したように思いました。長い間ぼんやりと漂っていた思いや考えを共感する相手がいるということが、そのような感情を発生させたのかと思います。妊孕性(にんようせい)や晩期合併症についても、当たり前のように話題にのぼり、今後したほうがよい検査や、学校や会社には秘密にしたいコソコソ話なども避けることなく話せる時間を過ごすことができました。
小児がんを経験して得た、秘めている思い、複雑な感情を何気なく出せる場所があるのは何かの助けとなり、ひとつのきっかけ作りになるのではないかと思います。こういう場所って必要かもね、と来年も開催できることを期待して解散しました。
本会開催にあたり、井上理事長と沖本先生にはお忙しい中ご参加いただき、ご挨拶をいただきましたこと、心から感謝いたします。
多くの方からのご協力もいただき、ありがとうございました。(文責 中村)