2012年10月14日 臨床心理士会での講演
講演・社会啓発
2012.10.14
東京ビッグサイトで開かれました臨床心理士会に参加しました。
チーム医療、トータルケア、Family-Centered-Care などという言葉がきかれるようになった昨今、今や病気を治すには心のケアも非常に大事であると認識され始めていますが、現実にはまだその入り口といった感もあります。
心のケアに関わる職名は数多く聞きます。診療内科、精神科、精神腫瘍科、神経内科など複数の科目、臨床心理士、ソーシャルワーカー、カウンセラーなど様々な専門職の職名。これらはみな聞いたことはあるけれど、実際どのように違うのか、どんなことをするのか具体的にはよくわからないといった声も聞きます。
臨床心理士が病院のスタッフとして存在している病院は増えてきましたが、実際に入院生活を送っていて臨床心理士の方々にお目にかかるときってどんな時でしょうか?精神的に辛い時、不安で押しつぶされそうになった時、どなたかに聴いてもらいたい。できたら医療上のこと、子どもの現状について医療スタッフとゆっくり話したい、取り留めもないことかもしれない、まとまってないかもしれない、でも心の中にたまっていることを、聴いてもらえる医療スタッフがいたら…。小児がんの子どもを持った親が切に願っていることです。でも「医師も看護師もただただ忙しそうで、ゆっくり・・・とはいかない」と思えることが多いのですが、ここに臨床心理士という心のケアの専門家がいて下さったら…
しかし臨床心理士がスタッフとして病院に存在するようになっても、会って話を聴いてもらうチャンスは少ないというのが現状ではないでしょうか?病棟スタッフからみて、明らかに精神的に行き詰っているなどの状況が認められたときに初めて、「臨床心理士とお話をしてみますか?」と問いかけられることが多いのではないでしょうか。でも見ず知らずの人にいきなり心境を話すなど、抵抗感があるというのが家族、本人の本音です。その上、心理テストなどを行い、その結果で心の状態を判定され、あたかもそれが絶対的なもののように説明されたりすれば、心の中は不安だけでなく疑問がうまれ、怒りと変わることもあるでしょう。
当会では病棟内活動も行っており、ある病院では14年くらい継続しています。その中で感じたことは、臨床心理士の方々がもっと頻繁に病棟を訪れてくださって、日ごろから患児・家族との交流を深めていただきたい、そうすれば自然に、家族の方から相談が持ちかけられ、臨床心理士の方々もその患児・家族をよく知っていることを土台とし、問題点のより明確な分析・アドバイスなどが実行できるのではないでしょうか。
と、このようなことをお話してまいりました。