理事長就任のご挨拶
2022年、6月より井上前理事長の後を受け、理事長に就任いたしました中島弥生です。
長女が白血病で入院中、菜の花会が開いてくれた行事で、親子ともホッとする時間を過ごすことができました。退院後も勉強会やハゼ釣り大会で仲間に会って、近況や心配なことを話すと頑張ろうと思えました。そのような活動への恩返しの気持ちでお手伝を始めました。 スタッフとして活動してみると、前理事長の井上さんの行動力と日々の努力、さらに関係施設や理事の先生方など皆様のご支援があってこそ、活動を実施・継続できるということを実感する日々でした。1997年、「菜の花会」として活動が始まり、この25年間で築き上げた実績と大勢の方々との関係を考えると、身動きできないほどの重責を感じていますが、ひとつひとつの活動を大切に継続していくことから始めてまいります。まず、病棟内などの治療中の患児とそのご家族への支援です。この2年以上の間、新型コロナや社会情勢の影響で、患児・小児がん経験者と家族のおかれている環境は大きく変化してしまい、病棟内でのボランティア活動はほとんどできませんでした。また、小児がんの治療も少しずつ変化し、短い入院期間が繰り返さるなどして患児とご家族同士が知り合いになる機会も減っています。そのような変化があっても、同じ経験をした者たちとして皆様をつなげ、授業の遅れや容姿の問題など、小さくて大きな心配事を相談できる場を提供できるように続けていきたいと思います。
次に治療終了後も続く小児がん経験者を巡る問題です。小児がんの治癒率が向上し、現在では全国に10万人以上の小児がん経験者がいるといわれ、その60%以上が何らかの晩期合併症を抱えながら社会生活を送っているともいわれています。また、晩期合併症の発症リスクは、治療終了後、経年的に上昇することもわかっています。そこでミルフィーユは入院中から長い将来を見据えて、晩期合併症を予防し、健康的な生活を送るために必要な知識や情報の提供を行い、進学・就労・結婚・出産など、大きな人生のイベントを迎えていく中で、支えとなる主治医や同じ経験を持つ仲間とのつながりを持ち続けるために活動をしています。さらに小児がんについての社会的理解を高めるための、社会啓発事業も行っています。SNSの発達で情報があふれる中でも、入院治療中や退院後に抱える根幹の不安や悩みは変わらないと思います。
“一人じゃない、ここにも君を応援している人がいるよ”このメッセージをこれから先も、患児・小児がん経験者と家族に届け、ミルフィーユが身近な存在であり続けられるよう努力してまいります。
認定NPO法人 ミルフィーユ小児がん
フロンティアーズ理事長
中島 弥生